定義
腹部大動脈または四肢の主要動脈が粥状硬化病変のために狭窄または閉塞して,四肢に慢性の循環障害をきたす疾患。
●病態
@粥状動脈硬化の危険因子を背景としているが,特に喫煙の影響が顕著。
A上肢には少なく、下肢動脈系の大腿動脈・膝窩動脈・腸骨動脈・腹部大動脈の順に多いが、通常は複数の病変を認める。
B病理学的には粥状硬化病変の潰瘍形成・石灰化・出血・血栓付着のために内腔が閉塞または狭窄を起こしている。
C安静時には血管内腔断面積が75%以下になると血流減少が起こる。運動時には安静時の10倍以上の血流が必要とされるため、歩行時などには運動に見合った血流が供給できなくなると虚血症状が出現することになる。この状態が持続すると側副血行路が発達し始める。
D粥状硬化巣の破裂・血栓形成で急性閉塞が起こった場合には急激な虚血のために突然罹患側の激しい疼痛で発症する。
●診断のポイント
@50歳以上の男性に好発。
A高血圧・糖尿病・高脂血症の既往がある。
B間欠跛行・下肢動脈の拍動減弱がみられる。
C動脈造影⇒途絶・虫喰い像(上肢罹患はまれ)
●治療方針
まず動脈硬化のリスクファクターの除去を行う。
@薬物療法⇒抗血小板薬・血管拡張薬
A血行再建手術
1)短い閉塞(10cm未満)⇒経皮的血管形成術(PTA)
2)長い閉塞(10cm以上)⇒人工血管バイパス術 or 血栓内膜摘除術
3)その他、自家静脈移植術、壊疽例には患肢切断術。
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