2014年06月13日

気管支喘息の検査と診断などなど

●気管支喘息の検査と診断

発作性の呼吸困難や喘鳴、咳が、とくに夜間から明け方に出現するか否かで珍断されます。

気道過敏性や気道可逆性、アトピーの存在、痰のなかの好酸球の存在は、喘息診断の補助になります。

また、がんや結核(けっかく)などで気道が狭くなったり、心不全でも喘鳴が聞かれるので、これらの病気がないことを確認します。
 
現在は、日本独自の喘息予防管理ガイドラインがつくられていて、喘息の重症度は喘息症状と呼吸機能の両方から判定されます。

重症度にもとづき、治療の方法が定められています。




●気管支喘息の治療の方法

以前は、気管支平滑筋の収縮をとる気管支拡張薬が治療の主体でした。

しかし、喘息が慢性の気道炎症から起こることがわかり、抗炎症作用が強く副作用の少ない吸入ステロイド薬が中心となりました。
 
気道狭窄に対しては、発作寛解(かんかい)薬として、今でも気管支拡張薬(β2刺激薬)の吸入薬が有用です。

ほかに、従来から使用されている徐放性テオフィリン薬、経口β2刺激薬、抗アレルギー薬も、吸入ステロイド薬を補助する治療薬として用いられます。
 
喘息治療の目標は、副作用がない薬と量で喘息症状をなくし、運動を含めた日常生活に支障がないよう呼吸機能を正常に保つことです。

急におこる喘息発作を気管支拡張薬で抑えることも大切ですが、さらに重要なのが、ふだんから吸入ステロイド薬を中心とした治療をきちんと行い、炎症を改善して発作を起こさないようにすることです。
 
即効性のある吸入β2刺激薬と違い、吸入ステロイド薬は少なくとも数日〜1週間以上吸入しないと効果が出ません。

発作のない時でも吸入ステロイド薬の治療を続けることが、発作予防につながります。
 

また、喘息患者では重症になるほど息苦しさの感覚が鈍くなることが知られています。

かなり気管支が狭くなっているのに、自覚症状をあまり感じないのです。
 

その場合、自宅で呼吸機能を測定できるピークフローメーターが有用です。

毎日測定することで、自覚症状だけではわからない呼吸機能の状態が判断でき、治療の不足や遅れを防ぐことができます。



●気管支喘息の重症度に応じた薬物治療

現在では気管支喘息の重症度は、患者さんの自覚症状と呼吸機能から決定されます。

治療はこの重症度を考慮して行われます。
 
たとえば、週に1回未満の喘息症状が現れるごく軽症の患者さんは、吸入β2刺激薬を発作時にのみ使用するだけでよいのですが、週1回以上発作がある場合では、少量の吸入ステロイド薬で治療します。
 
さらに慢性的に症状があったり呼吸機能が低下している時は、中〜高用量の吸入ステロイド薬を使用します。

これらの治療でも喘息がコントロールされない時に、徐放性テオフィリン薬、抗アレルギー薬、長時間作用型吸入または貼布β2刺激薬を使用します。

最近では吸入ステロイドと長時間作用型β2刺激薬の合剤も登場し、広く使用されています。
 
どの重症度でも発作時にはβ2刺激薬の吸入薬を使いますが、それでも呼吸困難が強く横になれないような時は救急外来を受診し、ステロイド薬と気管支拡張薬の点滴や、血中の酸素濃度が低下している時は酸素の吸入を行います。

すぐに発作が治まらない時は入院も必要です。



●気管支喘息の原因療法

アレルゲンがわかれば、それを取り除くことが第一です。

また、できるかぎりアレルゲンと思われるものを避けることが必要です。

しかし、完全なアレルゲン除去は難しく、生活上のさまざまな対策が大切になります。
 
また、室内塵のように、どんなに努力しても完全に除去できないアレルゲンについては、原因物質のアレルゲン成分を少量ずつ繰り返し注射して、体を慣らしてしまおうという「アレルゲン免疫療法(減感作(げんかんさ)療法)」もあります。

ただし、この方法では初めの半年〜1年間は最低週1回ずつ、その後2年間ほどは4週間に1回程度の注射を続ける必要があります。

少しよくなると中断してしまう人も多く、この場合は初めからやり直さなければなりません。

アレルゲン免疫療法は発病後なるべく早く開始するほど効果が高いといわれています。
 


最近では「急速減感作療法」といって、1週間の入院で原因アレルゲンを毎日数回注射するという方法もあります。

従来のアレルゲン免疫療法よりも有効で、一部のアレルギー専門施設で行われています。
 
また、喘息には何らかの精神的な要因も関係しており、心身症としての側面もあります。

そこで、心身のリラックスを図る自律訓練法を中心とした各種の精神療法が行われています。

とくに小児の場合、健全な成長を促す意味でも、患児本人や患児集団、さらに家族を含めたいろいろな精神療法が試みられています。



●気管支喘息の経過と予後

子どもの時に発症した喘息は、しばしば成長に伴い自然に治ります。

一方、小児喘息を成人まで持ち越したり、成人になってから新たに発症した喘息は、長期に続くことも知られています。
 
成人喘息の人でも外来で適切な治療を受けていれば、発作をなくすことが可能です。

吸入ステロイド薬による治療を続けると、喘息による救急外来の受診回数や入院回数、さらに喘息死まで減少することがあきらかになっています。

喘息患者の生活の質(QOL)は、吸入ステロイド薬を中心とした適切な抗炎症治療で確実に向上するのです。



●日常生活での注意点

以下、要点だけを記載しておきます。

(1)ほこりを避ける。

(2)犬や猫、ハムスターなどのペットを飼うのはやめる。

(3)室温の変化や換気に注意する。

(4)市販のかぜ薬に注意する。


市販のかぜ薬にはアスピリンなどの喘息の原因になる薬が含まれていることがあります。


以上

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肺炎とはどんな感染症か

●肺炎とはどんな感染症か

肺炎は、肺胞性(はいほうせい)肺炎と間質性(かんしつせい)肺炎に大別されます。

原因別死亡率では、肺炎は4位に位置しており、肺炎で死亡する人の92%は65歳以上の高齢者です。
 

原因となる病原体(病因微生物)などの種類により、細菌性肺炎、ウイルス性肺炎、マイコプラズマ肺炎、クラミジア肺炎、真菌性(しんきんせい)肺炎、寄生虫肺炎などに分類されます。

 
病理形態学的な分類では、大葉性(だいようせい)肺炎(肺炎球菌、クレブシエラ)と気管支肺炎(黄色ブドウ球菌、嚥下性(えんげせい)肺炎‐高齢者や脳血管障害のある人に多い連鎖球菌性(れんさきゅうきんせい)肺炎など)に分かれます。
 
患者さんの背景による分類では、市中(しちゅう)肺炎(在宅肺炎)、院内肺炎に大きく分けられます。


市中肺炎は通常の社会生活を営んでいる人にみられる肺炎です。

一方、院内肺炎は入院している患者さんが基礎疾患(糖尿病、がん、エイズ、外科的手術後など)や治療(副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制薬など)により感染しやすくなり、病院内で感染した肺炎です。
 

院内肺炎ガイドライン(2008年改訂)では、生命予後予測因子5項目((1)悪性腫瘍または免疫不全、(2)血中酸素濃度、(3)意識レベル、(4)年齢(70歳以上)、(5)脱水)とCRP(C反応性蛋白)20mg以上などが重視されています。



(1)細菌性肺炎
 
肺炎のなかで最も頻度の高いものです。かぜ症候群に引き続き起こる市中肺炎では、肺炎球菌、インフルエンザ菌、連鎖球菌(とくにミレリグループ)によるものが多くなっています。

慢性気管支炎、びまん性汎細気管支炎(はんさいきかんしえん)、気管支拡張症などをもつ患者さんには、インフルエンザ菌、肺炎球菌、モラキセラ(ブランハメラ)、緑膿菌(りょくのうきん)による肺炎の頻度が高くなっています。
 

院内肺炎では、発症前に抗菌薬が使用されていると、MRSA(メチシリン耐性黄色(たいせいおうしょく)ブドウ球菌(きゅうきん))などの耐性菌やマクロライド系抗菌薬・ニューキノロン系薬耐性菌の頻度が高くなります。
 
原因別の特徴は以下のようになっています。

・肺炎球菌性肺炎:市中肺炎の起炎菌としての頻度が最も高い。

・インフルエンザ菌性肺炎:慢性気道感染患者の気管支肺炎としてみられる。

・黄色ブドウ球菌性肺炎:気管支(巣状(そうじょう))肺炎の代表的な原因菌。

・レジオネラ肺炎:クーリングタワーの稼働時期に集団発生がみられる。

・クレブシエラ肺炎:高齢者、アルコール多飲者に発症しやすい。

・緑膿菌性肺炎:院内肺炎の代表的菌種で、化学療法歴の長い症例では、緑膿菌の持続感染がみられる。



(2)マイコプラズマ肺炎

15〜25歳の若年者に比較的多く、頑固な乾いた咳(せき)がみられます。



(3)クラミジア肺炎

鳥類との接触歴のある人に多く、高熱、乾いた咳、頭痛、筋肉痛などがみられます。


(4)ウイルス性肺炎
 
肺炎を起こすウイルスは、呼吸器系ウイルス(向肺性(こうはいせい)ウイルス)の頻度が高く、インフルエンザウイルスがその代表です。

これに引き続く細菌の二次感染(肺炎球菌、インフルエンザ菌)による肺炎(インフルエンザ後肺炎)がほとんどです。




●肺炎の症状の現れ方

発熱、全身倦怠感(けんたいかん)、食欲不振などの全身症状と、咳、痰、胸痛、呼吸困難などの呼吸器症状がみられます。

肺炎球菌性肺炎では悪寒(おかん)、発熱、頭痛、咳、痰を5大症候とし、そのほか頭痛、全身倦怠感、食欲不振などの全身症状がみられます。
 
痰は粘性膿性から、のちに特異的なさび色の痰になります。

肺炎の重症度は、呼吸困難の程度、チアノーゼ(皮膚や粘膜が青色になる)の有無、意識障害の有無などにより判断されます。



●肺炎の検査と診断

検査所見としては、白血球増加、CRP高値などの炎症反応が特徴的です。

胸部X線検査では、気管支内空気(エアブロンコグラム:気管支空気像)や肺胞空気像を伴う浸潤(しんじゅん)陰影がみられます。

間質性陰影はウイルス、マイコプラズマ、クラミジア肺炎にしばしばみられ、すりガラス、網状、粒状陰影を示します。

ウイルス性肺炎では異形(いけい)リンパ球の出現がみられ、マイコプラズマ肺炎では寒冷凝集反応が上昇します。
 
痰の検査をして、肺炎の原因菌を探します。

膿性痰(うみ状の痰)では細菌感染症が疑われます。

細菌培養検査、グラム染色、痰の染色所見、血清診断(抗体価)以外に、肺炎球菌やレジオネラの尿中抗原検出キットによる迅速診断ができます。




●肺炎の治療の方法

化学療法が主ですが、補助療法(免疫グロブリン製剤やG‐CSF製剤や好中球エラスターゼ阻害薬など)や呼吸管理なども重要です。

体力の弱っている高齢者では、口から薬をのむことができず、逆に食欲不振が増して誤嚥性(ごえんせい)肺炎を併発し、症状を悪化させることがあるので、即効性があり確実な抗生物質の経静脈的(血管注射)投与が行われます。

●化学療法
 
肺への移行がよい薬としてマクロライド、クリンダマイシン、テトラサイクリン、リファンピシン、ニューキノロン系薬剤、アミノ配糖体系抗菌薬があります。

肺炎球菌、連鎖球菌では、ペニシリン、マクロライド、セフェム系抗生物質が効果的です。
 
黄色ブドウ球菌は近年MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が増加しており、多剤に耐性ができている(薬が効かない)場合、バンコマイシンが使用されます。

マイコプラズマ肺炎ではテトラサイクリン系、マクロライド系抗生物質が有効です。


●一般療法、補助療法
 
全身の栄養状態の改善、痰が出にくい時の療法、脱水に対する処置、低酸素血症に対する酸素療法などが必要です。

人工呼吸管理を必要とする場合もあります。



以上


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2014年06月12日

気管支喘息とはどんな病気か

●気管支喘息とはどんな病気か

発作性の呼吸困難、喘鳴(ぜんめい)、咳(せき)を繰り返す疾患で、慢性的な炎症が気道に起こり、気道の過敏性が亢進することがその原因と考えられています。

抗原の吸入、運動、感染、ストレスなどが喘息発作の引き金になります。

吸入ステロイド薬(副腎皮質ホルモン)を中心とした長期の抗炎症治療が必要となります。
 

空気の通り道の気管や気管支が急につまって息苦しくなり、呼吸のたびにゼーゼー、ヒューヒューという音が聞こえます(喘鳴)。

さらに呼吸が苦くなると横になっていられず、座らなければ呼吸ができなくなります(起座(きざ)呼吸)。

咳や粘着性の強い吐き出しにくい痰も出ます。
 
このような喘息発作は、通常は一時的なもので、気管支拡張薬の吸人などの治療で、または軽いものでは自然におさまります。

しかし、重い場合は何日も呼吸困難が続き、苦しい思いをすることもあります。

また、発作が突然に起こり、発作と発作の間に症状らしいものがほとんどないことも特徴です。
 
喘息症状は、炎症を起こした気道がたばこの煙や冷気などさまざまな刺激に対して過敏に反応し、収縮することで誘発されます。気道の炎症が慢性的に続くと、気道の壁が肥厚して内腔が狭くなります。こうなると、どんな治療をしても気道が拡張しなくなり、喘息が難治化することがわかってきました。




●気管支喘息の原因は何か

さまざまな説があり、代表的なものとしてアレルギー説、感染説、自律神経失調説、精神身体要因説などがあります。

はっきりした原因は現時点でもわかっていませんが、近年、喘息症状の原因は気道の炎症と考えられるようになりました。
 

患者さんの気道の粘膜には、好酸球(こうさんきゅう)、Tリンパ球、肥満細胞を中心とした炎症細胞が集まっており、これらによって気道に炎症が起こっています。

気道に慢性の炎症があると、さまざまな刺激に対して気道の筋肉(気管支平滑筋)が過敏に反応して収縮し、呼吸困難、喘鳴、咳などの症状が現れると考えられます。
 

気道狭窄(きょうさく)の原因としては、気道の壁のむくみ、気道内の喀痰(かくたん)の存在、気道の壁自体が厚くなることなどがあげられます。
 

喘息は、アトピー型と非アトピー型に分類されます。

アトピーとは、ダニなどの空気中の環境抗原に対して、アレルギー抗体(免疫グロブリンE(IgE)抗体)を産生する遺伝的な素因です。
 
アトピー型では産生されたIgE抗体が肥満細胞上に結合しています。

ダニ抗原などの空気中の環境抗原が気道に吸入されると、肥満細胞上でI型のアレルギー反応が起こり、肥満細胞から化学伝達物質が放出されて喘息反応がおこります。
 


非アトピー型では、環境抗原以外の原因で喘息が起きます。

慢性の気道炎症があることや、気道過敏性が亢進することに関しては、アトピー型と非アトピー型では差がないと考えられています。
 
そのほか、喘息を悪化させる要因として、激しい運動、ウイルス感染、飲酒、ストレスがあげられます。

激しい運動や飲酒は、肥満細胞から化学伝達物質を放出させやすくします。
 
かぜなどのウイルス感染は、感染そのものがアトピー発症の誘因になったり、気道過敏性を亢進させて喘息を悪化させたりします。

また、気温の急激な低下、季節の変わりめ、台風接近前、たばこや線香の煙の吸入、満腹状態、女性では月経や妊娠なども喘息発作の誘因になります。

一部の患者さんでは、解熱鎮痛薬などの薬剤や食物により喘息が起こることもあります。
 
最近は咳のみが慢性的に続く「咳喘息」が増えています。

典型的な気管支喘息の前段階ともいわれ、適切な治療をしないと、その一部は典型的喘息に移行するとされます。



●多様なアレルゲン

喘息のアレルゲンは実にさまざまで、主なものに室内でのちりやほこりがあります。

ふけ、髪の毛、カビ、衣類や食べ物のくず、ペットの毛や分泌物、植物や昆虫などで、これらを室内塵(しつないじん)またはハウスダストと総称しています。
 
なかでもダニによる喘息がとくに多く、生きているダニも、その死骸もアレルゲンとなります。

季節によって違いますが、室内塵1gに約1000匹いるといわれ、約40種類が知られていますが、アレルギーの病気では、とくにヒョウヒダニが問題になっています。
 
喘息の原因となる花粉は、スギ、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラなど多種類あり、稲やハウス栽培でのイチゴの花粉でも喘息が起こります。

日本ではカビが繁殖しやすく、これもアレルゲンになります。カビによる喘息は重症化しやすいので注意が必要です。
 

そのほかアレルゲンになるものに、そば粉、小麦粉、動物の飼料、こんにゃく粉、製材所のおがくず、動物の毛あか、ヒヨコの羽毛、蚕の分泌物やまゆ、サナギ、きのこの胞子などがあります。

また、枕のそばがらや、もみがら、ふとんの羽毛もアレルゲンになります。
 
そのほか食べ物や薬もアレルゲンになります。

食物性では、卵、牛乳、チョコレート、ピーナツ、魚介類(イワシ、サバ、タコ、イカ、エビ)や野菜(竹の子、ほうれんそう、山の芋、なす)、そば、香辛料、みかんなどです。



●気管支喘息の症状の現れ方

喘息発作は夜間から明け方にかけて起こることが多いようです。

初めはのどがつまる感じがあり、やがて喘鳴がおこり、呼吸が苦しくなってきます。

呼吸困難がひどくなると、横になっていられなくなり、前かがみに座って呼吸しなければならなくなります。
 

呼吸困難がしばらく続いたあと、咳や痰が出ます。咳はいわゆる空咳(からせき)で、呼吸をさらに苦しくさせます。

痰は透明で粘りけが強く、なかなか吐き出しにくいものです。
 
重い発作の場合は呼吸困難が激しくなり、かなり持続します。

さらに重症になると、血液中の酸素が不足するため意識を失い、指先や唇が冷たく紫色になるチアノーゼ状態に陥ります。

また脱水状態にもなります。重い喘息発作が24時間以上持続するのを「喘息重積状態」と呼びます。
posted by ホーライ at 07:30| 気管支喘息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月11日

統合失調症とはどんな病気か

●統合失調症とはどんな病気か

●統合失調症は脳をはじめとした神経系に生じる慢性の病気である
 
統合失調症は、さまざまな刺激を伝えあう脳をはじめとした神経系が障害される慢性の疾患です。

詳細は不明な部分もあるものの、ドーパミン系やセロトニン系といった、緊張‐リラックスを司る神経系や、意欲やその持続に関連する系列、情報処理・認知に関する何らかの系列にトラブルが起きているといわれています。



●特殊な病気ではなく、100人にひとりくらいの割合でかかっている人がいる
 
世界各国で行われたさまざまな調査により、統合失調症の出現頻度は地域や文化による差があまりなく、およそ100人にひとりは、かかった体験をもっていることがわかりました。

これは、統合失調症が奇病の類(たぐい)ではなく、誰しもが体験しうるような病気のひとつであるということです。



●統合失調症の症状の現れ方

*陽性症状(ようせいしょうじょう)は安心感や安全保障感を著しく損なう
 
急性期に生じる患者さんの感覚は「眠れなくなり、とくに音や気配に非常に敏感になり、まわりが不気味に変化したような気分になり、リラックスできず、頭のなかが騒がしく、やがて大きな疲労感を残す」、あるいは「自分のことが周囲の人に筒抜(つつぬ)けになり、常に人から見張られていて、悪口を言われ非難中傷されている」というような体験のようです。
 
誰も何も言っていないはずなのに、現実に「声」として悪口や命令などが聞こえてしまう「幻聴(げんちょう)」や、客観的にみると不合理であっても本人にとっては確信的で、そのために行動が左右されてしまう「妄想(もうそう)」といった症状が代表的です。
 
これらの症状を「陽性症状」と呼びます。

陽性症状は、安心感や安全保障感を著しく損ない、一度、症状が現れるとそこからの回復過程は緩やかで、十分な時間を必要とします。


*陰性症状(いんせいしょうじょう)は自信や自己効力感を奪う
 
一方、根気や集中力が続かない、意欲がわかない、喜怒哀楽(きどあいらく)がはっきりしない、横になって過ごすことが多いなどの状態として現れるものがあります。

「一見、元気にみえるのに、なぜか仕事や家事が続かない」といわれるような状態です。
 
また、込み入った話をまとめてすることが苦手になったり、会話を快活に続けることに困難を感じたり、考えがまとまらなかったり、話が飛びやすくなったりして、しばしば、自分でいろいろなことを決めて生活を展開していくことが大変難しく感じられます。
 
これらの症状を「陰性症状」と呼びます。

陰性症状は、なかなか症状として認知されづらく、怠けや努力不足とみられてしまう場合があります。
 
陰性症状を「症状」と理解して対応しなかった場合は、生活上のさまざまな失敗や挫折を招くことが多く、生活をしていく自信や「自分はやれている」といった自己効力感を損ないやすくなります。

これが、リハビリテーションをしたり、社会生活を維持するうえで要点となるところです。



●統合失調症の治療方法

*薬物療法の進歩は目覚ましい
 
統合失調症の症状が、ドーパミン系やセロトニン系といった神経系で作用している神経伝達物質のアンバランスと関連が深いことが認められて以来、多くの治療薬が開発されてきました。とくに近年、第2世代の抗精神病薬と呼ばれる治療薬が開発され(リスパダール、ジプレキサ、ルーラン、セロクエル、エビリファイなど)、より好ましい成果をあげつつあります。
 
これらの薬の特徴は、陽性症状に効果があるばかりでなく陰性症状にも効果があるといわれていることと、錐体外路(すいたいがいろ)症状と呼ばれる、手の震えや体のこわばりといった生活に支障を起こしやすい副作用が少ないことです。
 
また、使用方法として、(1)原則として、1種類の薬で処方し、同じような効き目の何種類もの薬を重ねてのむような方法はとらないこと、(2)「適用量」があり、多量の処方は、副作用ばかりが増えて効果が増えるわけではなく、意味がないことが明らかにされています。
 
日本では、かつて多種類の薬物を大量に処方する習慣がありました。第2世代の抗精神病薬は、このような処方の方法論にも影響を与えています。



●統合失調症の予後について

長期予後では50%以上の人が回復したり軽度の障害のみですんでいる
 
以前から「統合失調症は予後不良である」とか、「人格が荒廃(こうはい)することがある」などといわれてきましたが、研究の成果は必ずしもそれを示していません。
 
チオンピ博士が1976年に行った30年の長期予後調査では、「回復」と「軽度」の障害の状態と判断された人が併せて49%にのぼっています。

別の調査では、初回入院のあと5年間安定した生活を続けられた人の場合、68%がこの予後良好群に入るとの結果もあります。
 
さらに、適切な薬物療法とリハビリテーションが行われた場合は、回復の度合いはさらに良好です。



ハーディング博士が1987年に実施した30年長期予後調査によれば、適切な薬物療法とリハビリテーションの組み合わせで40%の人が過去1年間に就労経験をもち、68%の人でほとんどの症状が消失し、73%の人が充実した生活を送っていると答えました。
 
病は時として、自尊心や生活に対する興味をも失わせてしまいます。

病を抱えながらも生活を維持していくことを大切に考え、地域社会のなかで医療や生活支援などを受けながら、周囲の人々との適切な関わりが交わされることで、再び社会のなかで人生を積極的に生きていくことができるのです。


以上


ラベル:統合失調症
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2014年06月07日

「うつ病」を簡単に述べよ

●うつ病とは

眠れない、食欲がない、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといったことが続いている場合、うつ病の可能性があります。

うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスが重なることなど、様々な理由から脳の機能障害が起きている状態です。

脳がうまく働いてくれないので、ものの見方が否定的になり、自分がダメな人間だと感じてしまいます。

そのため普段なら乗り越えられるストレスも、よりつらく感じられるという、悪循環が起きてきます。



薬による治療とあわせて、認知行動療法も、うつ病に効果が高いことがわかってきています。

早めに治療を始めるほど、回復も早いといわれていますので、無理せず早めに専門機関に相談すること、そしてゆっくり休養をとることが大切です。




●うつ病は増えている?

日本では、100人に3〜7人という割合でこれまでにうつ病を経験した人がいるという調査結果があります。

さらに、厚生労働省が3年ごとに行っている患者調査では、うつ病を含む気分障害の患者さんが近年急速に増えていることが指摘されています。



「うつ病が増えている」の背景には、

うつ病についての認識が広がって受診する機会が増えている

社会・経済的など環境の影響で抑うつ状態になる人が増えている

うつ病の診断基準の解釈が広がっている

など、様々な理由が考えられます。





●「うつ病」にはいろいろある

「憂うつな気分」や「気持ちが重い」といった抑うつ状態がほぼ一日中あってそれが長い期間続く、というのはうつ病の代表的な症状です。

こうした症状が見られた場合、うつ病と診断されることが多いのですが、本当は、これだけで診断がついたことにはなりません。

大うつ病と呼ばれるタイプのうつ病には一定の診断基準があり、参考になります。

他に性格や環境、あるいはほかの病気やこれまで服用していた薬が関係していることもあります。



また、これまでに躁状態や軽躁状態を経験したことがある場合はうつ病でなく双極性障害(躁うつ病)であると考えられますのでそういう経験がなかったかの確認も必要です。

統合失調症などほかの精神疾患が背景にあって、抑うつ状態はその症状のひとつであった、という場合もあります。

このような症状を万が一うつ病と診断されたら、本当の疾患が見逃されせっかくの早期発見・早期治療のチャンスをのがしてしまうことになってしまいます。

正しいうつ病の診断は、うつ病のどのタイプなのか、ほかの精神疾患である可能性はないか、などを確認することまで含まれるのです。



●療法にもいろいろある

うつ病の治療法は、一人ひとり違います。

典型的なうつ病ならば薬物療法の効果が期待できます。

性格や環境の影響が強い場合は精神療法的アプローチや時には環境の整備が必要になります。

ほかの病気や薬が原因の場合は病気の治療や薬を変えることを考えなくてはなりません。

休職についても、休養が必要な場合とむしろ仕事を続けた方がいい場合もあってこの点でも方針はひとつではありません。


うつ病とひとくくりに考えて治療をうけるのではなく、うつ病にはいろいろあって、治療法もひとつではないことを知っておくことが大切です。

自分のうつ病と、ほかの人のうつ病は違うものであり、治療法も一人ひとり違っていて当たり前なのです。


以上
posted by ホーライ at 21:00| うつ病 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月06日

高血圧について、簡単に述べよ

●高血圧とはどんな病気か


複数回の各来院時に座位で測定された血圧が、常に最高血圧140mmHg以上、あるいは最低血圧90mmHg以上である状態を高血圧と定義しています。

現在の基準では、正常血圧は最高血圧が120mmHg未満、かつ最低血圧が80mmHg未満とされています。

120〜139 80〜89mmHgは高血圧前状態と定義されています。

降圧薬の投与を受けている人は、血圧が正常範囲にあっても高血圧という診断になります。


日本人の高血圧の患者さんは3000万人以上にも及ぶとされ、代表的な生活習慣病(成人病)のひとつになっています。

全体では成人男性の約45%、成人女性の約35%が高血圧になっており、年齢とともにその罹患率は上昇しています。

高血圧は心血管病の主たる危険因子であり、生命予後に大きな影響を与えることが明らかになっています。





●高血圧の原因は何か

高血圧には、大きく分けて2つあります。

本態性高血圧(ほんたいせいこうけつあつ)と二次性高血圧(にじせいこうけつあつ)といわれるタイプです。

90%程度が原因不明の本態性高血圧で、残りの約10%が何らかの原因で高血圧になっている二次性高血圧です。

二次性高血圧には、腎血管性(じんけっかんせい)高血圧、腎実質性(じんじっしつせい)高血圧、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)、クッシング症候群、大動脈炎症候群、大動脈縮窄症(しゅくさくしょう)などによるものがあります。
 
本態性高血圧は、生活習慣の乱れや遺伝素因、加齢などが相互に関連し合って発症すると考えられています。




●高血圧の症状の現れ方

一般に、高血圧自体が何らかの症状を引き起こすことはないと考えられていますが、軽度の頭痛、頭重感や倦怠感(けんたいかん)などを訴えることがよくあります。

これらの症状と血圧の因果関係は明らかではありません。
 
ただし、放置すると致命的になる状態の高血圧(高血圧緊急症(こうけつあつきんきゅうしょう))では、激しい頭痛、意識障害、けいれん発作、呼吸困難など重い症状を示します。

このような状態では、通常、最低血圧が120mmHgを超えています。
 
二次性高血圧では、原因により特徴的な症状を示すものもあります。



●高血圧の検査と診断

正確な血圧測定のためには、水銀血圧計を用いて聴診法で測定します。

最低5分間、座位安静にして足を床におき、腕を心臓の高さに保って測定します。少なくとも2回の測定を行います。

大規模臨床試験の結果に基づいて、何度か高血圧診断治療のための指針(ガイドライン)が改訂されています。

2003年に改定された米国合同委員会の報告(表1)では、高血圧を、最高血圧で140mmHg以上また最低血圧で90mmHg以上と定義しています。

そのほか、世界保健機関の国際高血圧学会やヨーロッパ高血圧学会のガイドラインがあります。日本においても、2000年に高血圧治療ガイドラインが示されています。


高血圧と診断されれば、生活習慣のチェック、脂質異常症(ししついじょうしょう)や糖尿病などの他の心血管危険因子の合併確認、二次性高血圧の精密検査、心臓・脳・腎臓・眼(網膜(もうまく))といった高血圧の影響を強く受ける臓器の障害の程度を評価するための検査が行われます。

これらの評価は、治療方針を決めるうえで非常に重要です。



●高血圧の治療の方法

本態性高血圧と二次性高血圧とでは、治療法が大きく異なります。

前者では、重症度に応じて、生活習慣を改善して経過観察するものから、降圧薬を中心とした薬物療法に生活習慣の改善を加えたものになります。

後者では、高血圧の原因を除去することが主体になります。




●高血圧に気づいたらどうする

最近は、簡便な自動血圧測定器が市販されており、家庭でも血圧測定が可能になっています。

検診などで高血圧の指摘を受ける、あるいは自己測定した血圧値がガイドラインの高血圧の範囲に入るなら、循環器専門医の診察を受け、高血圧の重症度判定、鑑別診断、治療方針決定などについて相談することが重要です。
 
なお、自己測定する場合は、測定精度の面から上腕にカフを巻いて測定できる血圧計がすすめられます。

自己の測定値は、診察室での測定より低めになる傾向があります。

広く合意された家庭血圧の基準はありませんが、13585mmHg以上は高いと考えるべきです。

以上

posted by ホーライ at 02:10| 高血圧 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月03日

糖尿病について、簡単に述べよ

●糖尿病とはどんな病気か

糖尿病はインスリン作用の不足に基づく慢性の高血糖状態を来す代謝疾患です。

健常者では、空腹時の血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)は110mgdl以下であり、食事をして血糖値が上昇しても、膵臓(すいぞう)のβ(ベータ)細胞からインスリンが分泌され2時間もすると空腹時のレベルに戻ります。

インスリン分泌低下あるいはインスリン抵抗性を来すと、食後の血糖値が上昇し、次第に空腹時の血糖値も上昇してきます。




●糖尿病の原因は何か



1型糖尿病、2型糖尿病、その他の疾患に伴う糖尿病および妊娠糖尿病に分類されます。

(1)1型糖尿病

自己免疫異常により、インスリンを合成する膵β細胞が破壊され、インスリンが絶対的に欠乏し、高血糖になります。

遺伝様式は不明ですが、白血球の組織適合抗原のタイプにより発症の危険率が高まります。

8〜12歳の思春期に発症が多くなりますが、幼児や、最近では成人にも発症がみられます。

日本の有病率は1万人に約1人です。




(2)2型糖尿病

糖尿病の98%以上を占め、40歳以降に起こりやすいタイプです。

インスリン分泌の低下あるいはインスリン抵抗性によって骨格筋などでの糖の利用が悪くなり高血糖を来します。

2型糖尿病は多因子遺伝で、家族性に起こります。

日本での患者数は急激に増加し、最近では50歳以上の人の約10%が2型糖尿病です。





(3)その他の疾患に伴う糖尿病

遺伝子異常が突き止められた糖尿病(MODY、ミトコンドリア糖尿病)や、糖尿病がほかの疾患や条件(内分泌疾患、膵疾患、肝疾患、ステロイド薬服用)に伴って発症することもあります。

内分泌疾患では、糖質ステロイドが過剰になるクッシング病やクッシンング症候群、成長ホルモンが過剰になる先端巨大症(せんたんきょだいしょう)、副腎髄質(ずいしつ)の腫瘍からカテコラミンが過剰に分泌される褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)などが代表的です。

膵疾患では、アルコールの過剰摂取などで膵臓が破壊され(膵炎)、インスリンの分泌が枯渇(こかつ)し、結果的には1型糖尿病と同じく、インスリン治療が必要になります。




(4)妊娠糖尿病(GDM)

妊娠中には女性ホルモンなどの影響で耐糖能(たいとうのう)が悪化し、糖尿病になることがあります。

多くは出産後、正常に戻りますが、妊娠糖尿病になった女性は将来糖尿病を発症しやすいので、注意が必要です。





●糖尿病の症状の現れ方

1型糖尿病は急激に発症し、ケトアシドーシス(インスリン不足により糖質の利用ができなくなり、脂肪が分解・利用されるため、ケトン体が生産されて血液が酸性になること)になりやすいタイプです。

しかし、ゆっくりと進行する1型糖尿病もあります。


一方、2型糖尿病はゆっくりと発症し、いつから糖尿病になったのかわからないこともあります。

高血糖による症状としては、口渇(こうかつ)、多飲、多尿、多食、体重減少、体力低下、易(い)疲労感、易感染などがあります。

尿に糖が多量に排泄され、その甘い匂いで発見されることもあります。

ケトアシドーシスでは、著しい口渇、多尿、体重減少、倦怠感(けんたいかん)、意識障害などのほかに、消化器症状(悪心(おしん)・嘔吐、腹痛)が特徴的です。

とくに、呼吸は深くゆっくりしたクスマール呼吸となり、甘酸っぱいアセトン臭があり、最終的には昏睡を来します。

高血糖高浸透圧(こうけっとうこうしんとうあつ)症候群では、著しい口渇、倦怠感を訴え、著しい脱水、ショックのほか、神経症状(けいれん、躁(そう)症状、振戦(しんせん)など)などがみられ、最終的には昏睡(こんすい)を来します。




●糖尿病の検査と診断

(1)糖尿病の診断基準

a.

(1)空腹時血糖値が126mgdl以上、(2)75gブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値が200mgdl以上、(3)随時血糖値(来院時に任意の条件下で測定された血糖値)が200mgdl以上、(4)HbA1Cが6・5%以上(日本の測定値では6・1%以上)のいずれかを認めた場合は、「糖尿病型」と判定します。

別の日に再検査を行い、再び「糖尿病型」が確認されれば糖尿病と診断します。

ただし、HbA1Cのみの反復検査による診断は不可です。

 
また、血糖値とHbA1Cが同一採血で糖尿病型を示すこと((1)〜(3)のいずれかと(4))が確認されれば、初回検査だけでも糖尿病と診断します。



b.

糖尿病型を示し、かつ次のいずれかの条件が満たされた場合は、1回だけの検査でも糖尿病と診断できます。

・糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)の存在・確実な糖尿病網膜症の存在



c.

過去において上記のaないしbが満たされたことがあり、それが病歴などで確認できれば、糖尿病と診断するか、その疑いをもって対応します。


d.

以上の条件によって、糖尿病の判定が困難な場合には、糖尿病の疑いをもって、3〜6カ月以内に血糖値とHbA1Cを同時に測定して再判定します。





(2)糖尿病の治療に必要な検査

・血糖値

通常、糖尿病の治療のためには空腹時や食後に血糖値を測定します。

なお、空腹時血糖は10時間以上絶食したあとの血糖で、食後血糖値は食事開始後の血糖であり、何時間後かを覚えておく必要があります。




・グリコヘモグロビン(HbA1C)

 赤血球中のヘモグロビン(Hb)にブドウ糖が非酵素的に結合したもので、赤血球の寿命が120日であることから、HbA1Cは少なくとも過去1〜2カ月の平均血糖値を反映します。

HbA1C値は糖尿病の経過を評価するのによい指標になります。日本のHbA1Cの測定値(JDS)での正常値は4・3〜5・8%です。

・尿検査

尿糖、尿蛋白、尿潜血、また糖尿病腎症(とうにょうびょうじんしょう)が疑われる場合には、尿中アルブミン排泄量を年に数回測定することがすすめられます。

・眼底検査

糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)の有無を検査するため、眼底を無散瞳(さんどう)眼底カメラにより撮影したり、眼科医によるチェックが必要です。

・神経学的検査
糖尿病神経障害(とうにょうびょうしんけいしょうがい)の発見のため、膝蓋腱(しつがいけん)反射やアキレス腱反射の有無を検査したり、温痛覚・触覚・振動覚のチェックが必要です。

・その他の検査

糖尿病の患者さんは、高血圧や脂質異常症を合併しやすいので、血圧測定や総コレステロール、中性脂肪(トリグリセリド)、HDL‐コレステロール(善玉コレステロール)などの血中脂質濃度の検査も時々必要です。

脂肪肝なども合併しやすく、肝機能検査も時に必要です。

糖尿病腎症による腎機能障害などをみるため、血清クレアチニンや尿素窒素(ちっそ)や尿酸などの測定も時に必要です。
 
心疾患のチェックのため、年1回ぐらいは胸部レントゲン写真や心電図検査を受けることも忘れてはなりません。





●糖尿病の治療の方法

1型糖尿病では、生涯にわたるインスリン治療が必要になります。

2型糖尿病では、過食や肥満、運動不足などの生活習慣の乱れを、食事療法や運動療法で改善することで血糖値は低下します。

食事療法や運動療法のみで不十分な場合には、インスリン分泌を刺激する薬剤やインスリン抵抗性を改善する薬剤、ブドウ糖の吸収を遅らせる薬剤が必要になります。



以上

posted by ホーライ at 05:27| 糖尿病 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月25日

劇症肝炎とは?

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■治験担当モニターとCRCに必要な基礎医学知識、薬学の試験問題、カルテ用語 (273)
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問題1.次の文章のかっこに入るのは何番?

劇症肝炎とは肝炎のうち症状発現後( A )以内に高度の
肝機能障害に基づいて肝性昏睡2度以上の脳症を来たし、
プロトロンビン時間がコントロールに比べて40%以下を
示すものである。

(1)8週間  (2)24週間









=================
   正解
=================

A=(1)8週間






問題2.次の文章は正しいか?

劇症肝炎の主な症状として下記のものがある。

・意識レベルの低下(肝性脳症、昏睡)
・黄疸
・出血傾向
・腹水   など


(A)正しい  (B)間違い







=================
   正解
=================

(A)正しい 







問題3.次の文章は正しいか?

劇症肝炎には発病後10日以内に「黄疸」の発現する急性型と
それ以後に発病する亜急性型とがある。

(A)正しい  (B)間違い







=================
   正解
=================

(B)間違い

黄疸(誤)⇒脳症(正)









問題4.次の文章は正しいか?

わが国における劇症肝炎の大半は薬剤性だが
肝炎ウイルスによるものもわずかだがある。

(A)正しい  (B)間違い










=================
   正解
=================

(B)間違い 

正しくは「大半は肝炎ウイルスによるものであるが、
薬剤によるものもある。」
posted by ホーライ at 10:09| 基礎医学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月20日

アレルギーについて簡単に述べよ

アレルギー(独 Allergie)とは、免疫反応が、特定の抗原に対して過剰に起こることをいう。

免疫反応は、外来の異物(抗原)を排除するために働く、生体にとって不可欠な生理機能である。



アレルギーが起こる原因は解明されていないが、生活環境のほか、抗原に対する過剰な曝露、遺伝などが原因ではないかと考えられている。

なお、アレルギーを引き起こす環境由来抗原を特にアレルゲンと呼ぶ。

最近では先進国で患者が急増しており、日本における診療科目・標榜科のひとつとしてアレルギーを専門とするアレルギー科がある。

喘息をはじめとするアレルギーの治療に関して、欧米の医師と日本の医師との認識の違いの大きさを指摘し、改善可能な点が多々残されていると主張する医師もいる。




●アレルギー疾患と自己免疫疾患

自己免疫疾患はアレルギーと異なり、自己の持つ抗原に対して免疫反応が起こる疾患である。

内因性のアレルゲンによるアレルギー反応が病態となっている点が異なるが、その機序は同一である。



【アレルギー疾患】

外部からの抗原に対し、免疫反応が起こる疾患。

ただしその抗原は通常生活で曝露される量では無害であることが多く(たとえば春先の花粉そのものが毒性を持っているわけではない)、不必要に不快な結果をもたらす免疫応答が起こっているといえる。 

アレルギー性疾患とも言う。

代表的な疾患としては アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎(花粉症)、アレルギー性結膜炎、 アレルギー性胃腸炎、気管支喘息、小児喘息、食物アレルギー、薬物アレルギー、蕁麻疹があげられる。

また、最近になって柑橘類の匂いや、ガムなどの香料の匂い程度で喘息、顔面紅潮などの1型アレルギー症状を示す病態が注目されている。




【自己免疫疾患】

自己の体を構成する物質を抗原として、免疫反応が起こる疾患。

特定の臓器や部位の障害、炎症をもたらしたり、全身性の症状を呈する場合がある。

代表的な疾患としては関節リウマチといった膠原病や円形脱毛症があげられる。



●衛生仮説

環境が清潔すぎると、アレルギー疾患が増えるという衛生仮説は非常に話題となっていたが、2004年、ドイツを中心とする医科学チームの研究により乳幼児期におけるエンドトキシンの曝露量が、以後の花粉症やぜんそくの発症に密接に関係していることが明らかにされた。

これは、乳幼児期の環境が清潔すぎると、アレルギー疾患の罹患率が高くなるという衛生仮説を裏付ける重要な報告である。

また、これらの研究を取り上げたドキュメンタリー番組「病の起源 (NHKスペシャル) 第6集 アレルギー 〜2億年目の免疫異変〜」が2008年11月23日(日) 午後9時 - 9時49分にNHK総合テレビで放送された。



●分類

アレルギーは、その発生機序により大きく I から V 型に分類される。これをクームス分類という。


●I型アレルギー

IgEというタイプの免疫グロブリンが肥満細胞(マスト細胞)や好塩基球という白血球に結合し、そこに抗原が結合するとこれらの細胞がヒスタミン、セロトニンなどの生理活性物質を放出する。

これにより、血管拡張や血管透過性亢進などが起こり、浮腫、掻痒などの症状があらわれる。

この反応は抗原が体内に入るとすぐに生じ、即時型過敏と呼ばれ、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、蕁麻疹等の症状を伴う。

また、反応が激しく、全身性のものをアナフィラキシーと呼び、さらに急速な血圧低下によりショック状態を呈したものをアナフィラキシーショックという。

また、この種のアレルギー症状は、10分前後で現れてくる。

代表的な疾患としては、蕁麻疹、PIE症候群、食物アレルギー、花粉症、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アナフィラキシーショックがあげられる。





●II型アレルギー

IgGというタイプの免疫グロブリンが、抗原を有する自己の細胞に結合し、それを認識した白血球が細胞を破壊する反応である。

代表的にはB型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎が挙げられる。

ウイルスを体内から除去しようとする結果、肝細胞が破壊されるため症状を来している。

ペニシリンアレルギーも、II型アレルギーの一種である。

この種のアレルギーの有無は、クームス試験などの検査によって調べる。


代表的な疾患としては自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、不適合輸血、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、悪性貧血、リウマチ熱、グッドパスチャー症候群、重症筋無力症、橋本病、円形脱毛症があげられる。





●III型アレルギー

免疫反応により、抗原・抗体・補体などが互いに結合した免疫複合体が形成される。

この免疫複合体が血流に乗って流れた先で、周囲の組織を傷害する反応である。

免疫複合体の傷害する部位が限局的な部位にとどまる反応をアルサス型反応といい、全身にわたるものを血清病と呼ぶ。

過敏性肺臓炎はアルサス型反応の、全身性エリテマトーデスや溶血性連鎖球菌感染後糸球体腎炎は血清病の代表例である。

この種のアレルギーは、2〜8時間で、発赤や浮腫となって現れる。


代表的な疾患としては血清病、全身性エリテマトーデス(ループス腎炎)、急性糸球体腎炎、関節リウマチ、過敏性肺臓炎、リウマチ性肺炎、多発性動脈炎、アレルギー性血管炎、シェーグレン症候群があげられる。




●IV型アレルギー

抗原と特異的に反応する感作T細胞によって起こる。

抗原と反応した感作T細胞から、マクロファージを活性化する因子などの様々な生理活性物質が遊離し、周囲の組織傷害を起こす。

薬物アレルギー、金属アレルギーなどがある。

他のアレルギー反応がすべて液性免疫であるのに対し、IV型アレルギーだけは細胞性免疫がかかわり、リンパ球の集簇(しゅうそう、むらがってあつまること)・増殖・活性化などに時間が掛かるため、遅延型過敏症と呼ばれる。

ツベルクリン反応、接触性皮膚炎などがある。

この種のアレルギーの皮内反応は、24〜48時間後、発赤、硬結となって現れる。



代表的な疾患としては接触性皮膚炎(いわゆる「ウルシかぶれ」は「アレルギー性接触皮膚炎」の一種である。)ツベルクリン反応、移植免疫、腫瘍免疫、シェーグレン症候群、感染アレルギー、薬剤性肺炎、ギラン・バレー症候群があげられる。


近年、免疫学の進歩により細胞性免疫によるIV型アレルギーも責任免疫細胞によって細分類されることがある。

しかし細分類してもマネジメントは変化しない。

IVa型Th1細胞とマクロファージによる反応でありツベルクリン反応、接触性皮膚炎がこれに含まれる。

IVb型Th2細胞と好酸球による反応であり気管支喘息、アレルギー性鼻炎、蛋白誘発性腸炎が含まれる。

IVc型CD8+T細胞による反応であり接触性皮膚炎が含まれる。

IVd型T細胞と好中球による反応でありベーチェット病などが含まれる。




●V型アレルギー

受容体に対する自己抗体が産生され、その自己抗体がリガンドと同様に受容体を刺激することで、細胞から物質が分泌され続けるために起こるアレルギー。

基本的な機序はII型アレルギーと同じであり、刺激性という点だけが異なる。

代表的疾患はバセドウ病。




●アレルギー疾患のアプローチ

アレルギー疾患のマネージメントを行うには、アレルギー疾患の鑑別のための問診、アレルゲン曝露から発症までの時間経過、症状の持続時間、全身性に症状があるのか、局所のみなのか、既往歴や家族歴があるのかといった点に注目すると整理しやすいといわれている。

もしアレルギー疾患を疑うのならば、まずはI型アレルギーのよるものかそれ以外、非I型アレルギーによるものかを区別すると診断にたどり着きやすくなる。

I型アレルギーによるものならば、即時型アレルギーといわれるようにアレルゲン曝露をしてから5分から90分以内に発症することが多いといわれている。


I型アレルギーで特に救急医学で重要視されているのがアナフィラキシーショックである。

重度のI型アレルギー反応においては早期のアドレナリン投与がもっとも重要であるといわれている。

早期にボスミン0.3mgの筋注を行うことで死亡率の減少がみられるだけではなく、数時間後に起こるといわれている第二相反応の防止効果もあるといわれている。

再発ともいえる第二相反応のリスクがあるために蜂に刺されたなどの理由でアナフィラキシーを起こした人がERに来た場合は5時間ほど安静にするか、リスクを十分に説明しておく必要がある。

アドレナリンの投与方法は大腿前外側部の筋注がすすめられている。



アレルギー疾患であると診断がついたとき、最も基本となる治療は原因抗原の回避と除去である。

接触などは比較的容易に防げそうだが決して簡単ではない。

例えば、ハウスダストや猫などに対するアレルギーの場合、アレルギー症状が起こりにくいレベルまで吸入抗原の濃度を減少させるのに数か月を要することも少なくないからである。

またアレルゲンには交差反応という現象も知られており、ラテックスとバナナ、白樺花粉とリンゴといった、一見関係のないように思える物質でも症状を誘発することはありえる。



アレルギー疾患の頻度は年齢によって大きく異なることが知られており、非典型的な年齢において発症した場合は他の疾患を念頭に置いた方が良い場合がある。

例えば成人発症のアトピー性皮膚炎を疑う場合は、鑑別としてT細胞性の悪性リンパ腫も考える必要がある。




●アレルギー疾患を調べる検査

アレルギー疾患を調べるための検査としては血清TARC、RAST、プリックテスト、経口誘発試験、リンパ球幼若化試験やリンパ球刺激試験、パッチテストなどが知られている。

TARCは病勢を反映して変動するため、重症度判定や治療効果判定に用いられることもある。

ブリックテストやRASTはI型アレルギーに対する試験であり、それ以外の機序で起こるアレルギーである、接触性皮膚炎、薬剤熱、血小板減少症、スティーブンジョンソン症候群などでは全く役に立たない。

さらにRASTは陽性であっても臨床的な症状と一致しないことが多いため注意が必要である(関係のない項目のRASTを行うと逆に混乱する)。


リンパ球幼若化試験(LTT)やリンパ球刺激試験(LST)は主に薬物アレルギーを調べるための試験でありI型アレルギー以外の機序の場合も有効である。

パッチテストはIV型アレルギーを調べるための検査である。染髪の際に行うのが最も有名である。




●アレルギー疾患の合併

気管支喘息と副鼻腔炎といったようにアレルギー性疾患は合併することが多く知られている。

特に呼吸器系のアレルギー性疾患は合併率が非常に高く、one airway one diseaseという考え方が提唱されている。

喘息と副鼻腔炎を同時に治療することで双方の治療効果に影響がでる。



以上


posted by ホーライ at 05:42| アレルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月18日

筋萎縮性側索硬化症

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■  
■5)基礎医学、薬学の試験問題 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

問題1.次の文章は何について説明しているか?

筋肉の随意運動に関係する神経系統が選択的に冒される原因不明の変性疾患で、特定疾患(難病)の一つに指定されている。

病名の欧文表記であるAmyotrophic Lateral Sclerosisの頭文字をとってALSと略称される。

(1)筋萎縮性側索硬化症  (2)くも膜下出血





」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(1)筋萎縮性側索硬化症 (きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)


【参考】

(2)くも膜下出血

頭蓋(とうがい)骨の下にある脳は、外側から、厚い硬膜、その下に薄い半透明なくも膜、さらにその下にある脳実質を包む軟膜という3層の膜に覆われ、くも膜と軟膜との間は、くも膜下腔(くう)とよばれる空間があって脳脊髄(せきずい)液に満たされている。

この中に出血がおこったものを、くも膜下出血という。









問題2.次の説明文は何を説明しているか?

胸鎖乳突筋、僧帽筋、板状筋など頸部筋群の不随意収縮によっておこる頭部の持続的運動ないしは異常頭位を呈する疾患をいう。

おもに成人期にみられ、心因性や症候性のほか、特発性のものもあり、原因不明の限局性ジストニアと考えられている。

(1)三叉神経痛    (2)痙性斜頸




    


」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(2)痙性斜頸 (けいせいしゃけい)

頭が右または左へ回旋したり、前方や後方に倒れたり、いわゆる斜頸とは異なるもので、整形外科あるいは脳外科領域よりは心身症として治療される場合が多い。

頸部筋訓練法やジアゼパムの大量療法、自律訓練法などが行われる。重症例には手術療法を行う。


【参考】

(1)三叉神経痛 (さんさしんけいつう)

顔面に分布する三叉神経知覚枝領域に突発的におこる神経痛の総称である。

脳腫瘍(しゅよう)、脳動脈瘤(りゅう)、副鼻腔(ふくびくう)の炎症や悪性腫瘍、むし歯、ウイルス感染症、全身性代謝性疾患などが原因のこともあるが、多くは原因不明であり、むしろこのほうを一般的に三叉神経痛とよぶ場合が多い。





問題3.かっこに入る言葉は?

坐骨神経痛は坐骨神経に沿っておこる激しい神経痛で、大部分は外傷による腰仙椎(ようせんつい)の
(   A   )で坐骨神経根が圧迫されるためにおこる。

(1)鼠径ヘルニア   (2)椎間板ヘルニア





」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(2)椎間板ヘルニア

【参考】

(1)鼠径ヘルニア (そけいへるにあ)

「鼠径(そけい)」」とは、太ももの付け根の部分のことをいい、 「ヘルニア」とは、体の組織が正しい位置からはみ出した状態をいいます。

「鼠径ヘルニア」とは、本来ならお腹の中にあるはずの腹膜や腸の一部が、多くの場合、鼠径部の筋膜の間から皮膚の下に出てくる病気です。一般の方には「脱腸」と呼ばれている病気です。


posted by ホーライ at 21:59| 神経の病気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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