2014年07月16日

再生不良性貧血とは?

●再生不良性貧血とは?

再生不良性貧血は、血液を作っている骨髄のはたらきが低下することによって血液中の白血球、赤血球、血小板のすべてが減少してしまう病気です。

この3系統の血球のどれもが減少している状態を汎血球減少症といいます。

幹細胞自体の減少と幹細胞がうまく働けなくなることの2つの原因があります。

大量の放射線や特殊な化学物質を浴びることで、幹細胞自体が減ってしまうこともあります。

感染症の症状(発熱、のどの痛みなど)、血小板減少による出血傾向(皮下の点状出血斑、鼻出血、歯肉出血など)、赤血球減少による貧血症状が起こります。

軽症では、治療はほとんど必要ありません。

しかし、軽度から中等症、重症へと移行することもあるので、経過観察が必要になります。

中等症から重症の場合は、放っておけば死の危険性もあります。

この場合の治療としては、免疫抑制療法や骨髄移植が選択されます。



●再生不良性貧血とは?

どんな病気か

血液を産生している骨髄のはたらきが低下することによって起こります。

すべての血球の元になる幹細胞がはたらかなくなるので、前述の汎血球減少症を起こします。


●再生不良性貧血の原因は何か

大きく分けて2つの場合が考えられます。

ひとつは幹細胞自体が減少する場合、もうひとつは骨髄に幹細胞がうまくはたらけなくなるような(免疫的な)ブレーキがかかってしまう場合です。

幹細胞自体を減らすものとして、特殊な化学物質や大量の放射線が知られています。


●再生不良性貧血の治療法

検査と診断

骨髄穿刺(針を刺して採取する)によって血球の低形成が確かめられ、末梢血検査で汎血球減少があれば診断がつきます。




●再生不良性貧血の治療の方法

軽症では治療を必要としないことがほとんどです。

しかし、診断時には軽症でも数年間に中等症、重症に悪化することもあるので、経過の観察は必須です。

中等症から重症の場合は、治療を行わなければ致死的な経過をとります。

骨髄移植とは、患児の骨髄をいったん破壊し、そこに健常なドナーの骨髄幹細胞を移植し育ってもらおうというもので、免疫抑制療法というのは幹細胞をはたらけない状態にしているブレーキを免疫抑制薬を使ってはずそうというものです。




●再生不良性貧血で処方されるお薬

シクロスポリンカプセル10mg「トーワ」[移植用][東和薬品株式会社] ※ジェネリック医薬品です。

お薬の形状(淡黄白色のカプセル剤、長径約8mm、短径約5mm)。リンパ球に特異的・可逆的な免疫抑制作用を示し、主にヘルパーT細胞の活性化を抑え、異常な免疫反応を抑えます。 通常、臓器移植(腎臓、...


プレロン錠1mg[大洋薬品工業株式会社]

お薬の形状(白色の片面1/2割線入り錠剤 直径6.5mm 厚さ2.7mm)。合成された副腎皮質ホルモン製剤です。副腎皮質ホルモンはもともと体内にあるホルモンの一種であり、抗炎症作用、抗アレルギー...


アマドラカプセル25mg[移植用][沢井製薬株式会社] ※ジェネリック医薬品です。

お薬の形状(白色〜淡黄白色のカプセル剤、長径10mm、短径6.8mm)。T細胞の受容たん白と結合することにより、ヘルパーT細胞の活性化を抑制し免疫抑制作用を示します。 通常、臓器移植(腎臓、肝臓...



プリモボラン錠5mg[バイエル薬品株式会社]

お薬の形状(白色の錠剤(直径7.0mm 厚さ2.7mm))。蛋白同化作用により、カルシウム、リン、窒素を貯留することにより、骨を丈夫にし、体力の著しい消耗状態を改善します。またヘモグロビン量、赤...


リカバリンカプセル250mg[旭化成ファーマ株式会社] ※ジェネリック医薬品です。

お薬の形状(橙色と淡黄色のカプセル剤、全長17.6mm)。種々の出血症状やアレルギーなどに関与するプラスミンの働きをおさえて、抗出血・抗アレルギー・抗炎症作用を示します。 通常、全身性の線溶亢進...



以上

posted by ホーライ at 03:26| 血液の疾患 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月13日

鉄欠乏性貧血とはどんな病気か

●鉄欠乏性貧血とはどんな病気か

血液のなかにはさまざまな成分が含まれています。

そのひとつに赤血球(せっけっきゅう)があり、そのなかに含まれるヘモグロビンは、体中に酸素を運ぶ重要なはたらきをしています。
 
ヘモグロビンは、酸素と結合するヘムという物質と、グロビンという蛋白質が結合してできていますが、ヘムの合成には鉄が必要です。



鉄は胃酸により吸収されやすい形に変わり、十二指腸や小腸から吸収されます。

人の体のなかに約4g含まれており、約3分の2がヘモグロビン鉄で、残りは主に貯蔵鉄と、その他、血清、筋肉、酵素にも含まれています。
 

普通は、体内の鉄の出入りはごくわずかでバランスは保たれていますが、何らかの原因でこのバランスが崩れることによって鉄欠乏症が起きます。

鉄が不足するとヘモグロビンの産生がうまくいかなくなるために赤血球1個あたりのヘモグロビンが減り、赤血球の大きさが小さくなって、小球性低色素性(しょうきゅうせいていしきそせい)の鉄欠乏性貧血になります。

貧血の90%以上がこの鉄欠乏性貧血です。


●鉄欠乏性貧血の原因は何か
 
鉄の欠乏は、供給量と需要量または喪失量とのバランスが負に傾くことによって生じます。

(1)食事性の鉄の摂取不足や消化管からの鉄吸収障害で供給量が不足した場合、(2)成長期や妊娠に伴って鉄の需要量が増えた場合、(3)慢性出血性疾患や月経過多により鉄の喪失量が増えた場合に、生体内の鉄バランスが負に傾き、まず肝臓、脾臓(ひぞう)、骨髄などの組織の貯蔵鉄が動員されて潜在的な鉄欠乏状態になります。
 
貯蔵鉄が枯渇してくると血清鉄が次第に低下し、この状態が数カ月続くと小球性低色素性貧血(いわゆる「血が薄い」)となります。

さらに進行して組織鉄が減少すると、貧血以外のさまざまな臨床症状が現れてきます。

日本赤十字社の調査では、男性の0・5%、女性の12・7%が鉄欠乏性貧血であるといわれています。



●鉄欠乏性貧血の症状の現れ方
 
貧血による組織への酸素供給量の低下を補うために、心拍数の増加による動悸や息切れ、易(い)疲労感(疲れやすい)、全身の倦怠感(けんたいかん)、頭重感、顔面蒼白、狭心症様症状(胸の痛み)などの一般的な貧血症状が現れます。

くわえて、組織鉄の欠乏が進むと爪がスプーン状になったり、口角炎、舌炎、嚥下(えんげ)障害(プラマービンソン症候群)などがみられることもあります。
 

なお、立ちくらみ(いわゆる脳貧血(のうひんけつ))はひどい貧血の場合にも起こりますが、多くは自律神経機能の低下により下半身の血管が縮まらず、その結果、上半身が血液不足になって起こります。


小児の鉄欠乏性貧血のなかには、泥、ちり、釘(くぎ)、チョークなどを食べる異嗜症(いししょう)を示す症例もあります。
 
貧血は徐々に進むことが多いため、ヘモグロビンが6〜7gdlくらいまでに減少していても、体が順応して明らかな貧血症状がみられないこともあります。



●鉄欠乏性貧血の検査と診断
 
血液検査で、小球性低色素性貧血(MCV・MCHの低下)、血清鉄低値、総鉄結合能高値、貯蔵鉄を反映する血清フェリチン低値が認められた場合に鉄欠乏性貧血と診断されますが、原因がはっきりわからない時はさらに検査が必要です。

60歳以上の高齢者では、鉄欠乏性貧血の約60%が消化管のがんなどの悪性疾患によると報告されているので、便潜血(べんせんけつ)や内視鏡などの検査も必要です。



●鉄欠乏性貧血の治療の方法
 
鉄欠乏の原因に対する治療と鉄の補給を行います。

偏食などの鉄の摂取不足、成長期や妊娠による鉄の需要の増大、生理や過激な運動による鉄の損失などの場合は、普段から鉄分を多量に含む食品の摂取が大切です。

動物性食品中には吸収されやすいヘム鉄が、植物性食品には吸収されにくい非ヘム鉄が多く含まれています。

また、ビタミンCは非ヘム鉄の吸収を促進します。
 


貧血がひどい場合や食事療法で改善が難しい場合は、経口鉄剤(硫酸第一鉄やさまざまな有機鉄)が1日100〜200mg前後で投与されます。

鉄剤を服用すると便の色が黒くなりますが、心配はいりません。


副作用として吐き気などの胃腸障害が時にみられますが、徐放性製剤(徐々に吸収されるように工夫されたもの)により軽減されます。

なお、お茶に含まれているタンニンは鉄と結合して鉄の吸収を妨げますが、日常生活のなかで普通に飲んでいる程度ではさしつかえありません。
 

鉄の補給は経口が原則ですが、吐き気などが強くて経口投与が不可能な場合や鉄剤の吸収障害がある場合、急速に鉄欠乏状態の改善を必要とする場合には、鉄剤の静脈注射による治療法が用いられます。

しかし、この場合は鉄剤の過剰投与による障害(ヘモクロマトーシスなど)を避けるため、必要以上に投与期間が長くならないように注意が必要です。
 
経口投与した場合の治療効果は、まず血清鉄が上昇し、網赤血球(もうせっけっきゅう)が7〜10日後に増え、次いでヘモグロビンが上昇してきます。

しかし、貯蔵鉄が完全に正常になるまでには3〜4カ月程度かかるので、血清フェリチン値が十分に上昇するまで治療を継続します。



●鉄欠乏性貧血に気づいたらどうする
 
内科を受診して血液検査をしてもらいます。

鉄欠乏性貧血と診断された時は、鉄欠乏の原因を調べることが大切です。

痔や子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)など良性の疾患による鉄欠乏性貧血は、適切な鉄剤の投与によって治ります。

しかし、成人の場合は消化器のがんが原因疾患であることがあるので注意が必要です。
 
なお、出血などの明らかな原因がなく、2週間以上鉄剤を服用しても反応がない場合は、血液疾患の可能性もあるため、血液内科への受診が必要です。


以上

posted by ホーライ at 02:27| 血液の疾患 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月11日

巨赤芽球性貧血とはどんな病気か?

●巨赤芽球性貧血とはどんな病気か?


細胞が増えるためにはDNAの合成が必要で、その際、ビタミンB12と葉酸(ようさん)が関係しています。

ビタミンB12は胃の壁細胞から分泌される内因子と結合し、回腸(小腸)の末端部で吸収され、肝臓に貯蔵されます。

葉酸は十二指腸と空腸(小腸)の上部で吸収されます。
 
ビタミンB12あるいは葉酸が欠乏すると細胞分裂がうまくいかないため、骨髄(こつずい)中の赤芽球(せきがきゅう)(赤血球になる前の未熟な細胞)が大きくなり(巨赤芽球(きょせきがきゅう))、血液中に出てくる赤血球も大きくなります。


骨髄での造血能(血を造る能力)は上がりますが、赤血球になる前に壊れてしまい(無効造血)、大球性高色素性(だいきゅうせいこうしきそせい)貧血が起こります。

同じような変化は、白血球や血小板にも現れるため、すべての血球が少なくなります(汎血球減少症(はんけっきゅうげんしょうしょう))。
 
このほか、ビタミンB12の欠乏では神経系の異常が現れる場合もあります。



●巨赤芽球性貧血の原因は何か

巨赤芽球性貧血の原因は、ビタミンB12の摂取不良・吸収障害および葉酸の摂取不足・吸収障害・需要増大など多岐にわたります。

このうち、自己免疫によって胃粘膜の萎縮(いしゅく)が生じ(胃壁細胞抗体)、内因子の分泌が低下し(内因子抗体)、ビタミンB12の吸収障害が起こったものを悪性貧血といいます。
 

ビタミンB12の吸収部位である回腸(小腸)を切除した場合だけでなく、胃を全摘出したあともビタミンB12の吸収に必要な内因子が不足し、ビタミンB12の吸収が阻害されます。

また、消化管の手術後に小腸の盲管部で異常増殖した腸内細菌によってビタミンB12が消費され(盲管係蹄(もうかんけいてい)症候群)、巨赤芽球性貧血が起こる場合があります。

なお、ビタミンB12は肝臓で大量に貯蔵されているため、術後5〜7年を経過してはじめて症状が現れます。
 
一方、葉酸は体内貯蔵量が少ないので、妊娠、造血機能の亢進(溶血性(ようけつせい)貧血など)、炎症、白血病(はっけつびょう)、悪性腫瘍に伴ってしばしば欠乏します。

また、葉酸は熱に弱く、アルコールの多飲により小腸での吸収が障害されます。

そのほか、葉酸拮抗薬などの薬剤も巨赤芽球性貧血の原因になります。




●巨赤芽球性貧血の症状の現れ方

貧血は徐々に進むことが多いため、体が順応して初期には明らかな貧血症状がみられないこともあります。

一般的な貧血症状(動悸(どうき)、息切れ、易(い)疲労感、全身の倦怠感(けんたいかん)、頭重感、顔面蒼白など)に加えて、消化器症状として舌の表面がツルツルになり(舌乳頭萎縮(ぜつにゅうとういしゅく))、痛みを伴うハンター舌炎や、味覚低下、食欲不振、悪心などのほかに若年者での白髪もみられます。
 
さらに、ビタミンB12の欠乏では、四肢のしびれなどの知覚障害と歩行障害などの運動失調(亜急性連合脊髄変性症(あきゅうせいれんごうせきずいへんせいしょう))や興奮、軽い意識混濁などの精神障害を来すこともあります。



●巨赤芽球性貧血の検査と診断
 
血液検査で、大球性高色素性(だいきゅうせいこうしきそせい)貧血(MCV・MCHの高値、MCHCは正常)、白血球減少および血小板減少(汎血球減少)を示すことが多く、白血球分類で過分葉好中球(かぶんようこうちゅうきゅう)がみられます。

生化学検査では、間接ビリルビンおよびLDHが高値、ハプトグロビンが低値を示します。

骨髄検査では、赤芽球系細胞が過形成を示し、巨赤芽球が高率に認められます。
 
特殊な検査としては、ビタミンB12吸収試験(シリング試験)の異常、血清ビタミンB12の低値または血清葉酸の低値が原因に応じて認められます。



●巨赤芽球性貧血の治療の方法
 
ビタミンB12は食事から容易にとることができるため、特殊な食事をしていないかぎり原因の大部分は吸収の問題です。通

常は、ビタミンB12を注射か点滴で、最初の2週間は連日(または週2〜3回)投与し、そののち維持療法として2〜3カ月に1回投与しますが、最近では経口投与の有効性も報告されています。

根本的に治すことができないため、終生にわたって定期的な補充が必要ですが、補充することにより症状の改善は可能で、予後は良好です。
 

葉酸欠乏の場合は、原因に対する治療(禁酒など)と葉酸の経口投与による補充療法を数週間続ければ改善しますが、摂取不足や妊娠による需要の増大による欠乏の場合は、平素から葉酸を多量に含む食品(ホウレンソウなどの葉物の野菜や果物、豆類、レバー)をとることが大切です。

また、葉酸は熱に弱いため、調理法にも気をつける必要があります。



●巨赤芽球性貧血に気づいたらどうする
 
症状に気づいた時は、内科を受診して血液検査をしてもらいます。

巨赤芽球性貧血は補充療法など適切な治療を行えば予後は良好です。

しかし、同じような検査値の異常を示す疾患に、骨髄異形成(こつずいいけいせい)症候群や赤白血病(せきはっけつびょう)などの造血器悪性疾患(ぞうけつきあくせいしっかん)もあるので、大球性貧血と診断された時は血液内科を受診したほうがよいでしょう。

また、悪性貧血の場合は胃がんを合併することがあるので注意が必要です。



以上


posted by ホーライ at 05:20| 血液の疾患 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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