2014年07月27日

狭心症とは?(1)

●狭心症とは?(1)

狭心症とは、突然の胸の痛みや圧迫感などを起こす病気です。

発作はその起こり方などで、以下のように分類されます。

(1)労作(性)狭心症。これは、歩行や階段の上り下りなどの運動、精神的な興奮やストレスが原因となります。

安静にして気持ちを落ち着かせることで15分以内に症状が改善します。



(2)安静狭心症。これは、運動やストレスとは関係なく起こります。


(3)異型狭心症。これは、冠動脈がけいれんすることによって起こります。
夜間や明け方に発作が多いのが特徴です。



(4)安定(型)狭心症。これは、発作の起こり方が一定している狭心症です。



(5)不安定(型)狭心症。これは、発作が安静時に、毎日、または1日何度も繰り返すもので、より重篤な心疾患である、心筋梗塞を引き起こす可能性が高まっている状態です。

これら狭心症の治療には、薬物療法やカテーテルを用いて冠動脈を広げる治療のほか、冠動脈バイパス手術があり、患者さんの年齢や合併症の有無などで選択肢が変わります。



●狭心症とはどんな病気か

狭心症は発作的に、胸の痛みや圧迫感などの症状を起こす病気です。

発作の起こり方、原因などにより分類されます。

一般的には、「労作(性)狭心症」か「安静狭心症」、「器質型(血管の強い狭窄によって起こる)狭心症」か「異型狭心症」、「安定狭心症」か「不安定狭心症」のように分けられます。



●狭心症の原因は何か

血管内腔が狭くなることにより、心筋に十分な血流・酸素が送り込めない時に胸の痛みが起こります。

血管狭窄の原因の大多数は、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、高血圧などに引き続いて起こる動脈硬化です。

そのほか、血管けいれんも血管狭窄の原因となります。




●狭心症 症状の現れ方

代表的な発作の症状としては、胸の奥が痛い、胸がしめつけられる・押さえつけられる、胸が焼けつくような感じ、などがあります。

大多数は胸部の症状として現れますが、上腹部(胃のあたり)や背中の痛み、のどの痛み、歯が浮くような感じ、左肩から腕にかけてのしびれ・痛みとして感じることもあります。

 
また、痛みの程度は、冷汗を伴う強いものから、違和感程度の軽いものまであります。

とくに糖尿病の患者さんは、病変の重症度に比べて、症状を軽く感じることが多く、注意が必要です。



@労作(性)狭心症

歩行、階段昇降などの身体的な労作、精神的な興奮・ストレスが誘因となります。

安静にしたりストレスがなくなると、多くは数分で、長くとも15分以内で症状が改善します。

通常、心筋は運動などにより動きが盛んになると、正常なはたらきを保つための十分な酸素・栄養を必要とし、冠動脈の末梢が広がることによって血流が増します。

しかし、動脈硬化により冠動脈に狭窄があると、心筋に十分な血流を送り出すことができなくなります。

狭窄の程度が強いと少し動いただけで、また狭窄の程度が軽いと激しい運動をした時に、心筋への酸素の供給が足りなくなります。

つまり、心筋の仕事量に見合っただけの酸素供給が足りなくなった時に症状が現れます。




A安静狭心症

労作・ストレスに関係なく起こる狭心症です。

後述の異型狭心症、不安定狭心症がこれに属します。





B異型狭心症

冠動脈のけいれんによって起こる狭心症です。

労作とは関係なく、夜間、明け方に発作が多いことが特徴です。




C安定(型)狭心症

発作の起こり方が一定している狭心症で、労作性狭心症の大部分がこれに属します。




D不安定(型)狭心症

狭心症の症状が、軽労作または安静時に起こった場合、最近1カ月の間に症状が新しく始まるか起こりやすくなり、毎日のようにまたは1日何回も発作を繰り返す場合、また、ニトログリセリンが効きにくくなった場合の狭心症です。

安定(型)狭心症と比べ、冠動脈に高度な狭窄病変を認めることが多く、心筋梗塞へと進展する可能性の高い状態です。



●狭心症の治療法

検査と診断

@検査

a.心電図

 発作時に異常を認めることができますが、安静時では正常なことも多くあります。



b.運動負荷心電図

 冠動脈に狭窄があり、運動時、心筋に十分な酸素が供給できないと典型的な心電図変化を示します。

階段昇降(マスター法)、ランニングマシン(トレッドミル法)、自転車こぎ(エルゴメーター法)などの負荷方法があります。



c.ホルター心電図

 小型の機械で日常生活における心電図を24時間記録します。とくに異型狭心症の診断に有効です。



d.運動負荷心筋シンチグラム

 放射性同位元素を用いて、運動負荷前後で心筋内に十分血流が足りているかどうかを調べる検査です。詳細は心筋梗塞の項を参照してください。



e.心臓カテーテル検査(冠動脈造影)

 以上の検査で異常が疑われた時に行う検査で、後述の経皮的冠動脈形成術、冠動脈バイパス手術などを行う際には必須の検査です(図8)。詳細は心筋梗塞の項を参照してください。




A症状が似ている病気(鑑別診断)

 急性心筋梗塞、心膜炎、不整脈(発作性心房細動など)、大動脈解離、肺梗塞などの心・血管系の病気以外にも、胸膜炎、自然気胸、肋骨骨折、肋間神経痛などがあります。

また、逆流性食道炎、胃潰瘍、急性胆嚢炎・膵炎などの消化器系の病気と区別することが困難な場合もあります。


posted by ホーライ at 23:14| 心臓と血管の病気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月08日

閉塞性動脈硬化症とは?

閉塞性動脈硬化症  arteriosclerosis obliterans(ASO)

定義

腹部大動脈または四肢の主要動脈が粥状硬化病変のために狭窄または閉塞して,四肢に慢性の循環障害をきたす疾患。

●病態

@粥状動脈硬化の危険因子を背景としているが,特に喫煙の影響が顕著。

A上肢には少なく、下肢動脈系の大腿動脈・膝窩動脈・腸骨動脈・腹部大動脈の順に多いが、通常は複数の病変を認める。

B病理学的には粥状硬化病変の潰瘍形成・石灰化・出血・血栓付着のために内腔が閉塞または狭窄を起こしている。

C安静時には血管内腔断面積が75%以下になると血流減少が起こる。運動時には安静時の10倍以上の血流が必要とされるため、歩行時などには運動に見合った血流が供給できなくなると虚血症状が出現することになる。この状態が持続すると側副血行路が発達し始める。

D粥状硬化巣の破裂・血栓形成で急性閉塞が起こった場合には急激な虚血のために突然罹患側の激しい疼痛で発症する。




●診断のポイント

@50歳以上の男性に好発。

A高血圧・糖尿病・高脂血症の既往がある。

B間欠跛行・下肢動脈の拍動減弱がみられる。

C動脈造影⇒途絶・虫喰い像(上肢罹患はまれ)



●治療方針

まず動脈硬化のリスクファクターの除去を行う。

@薬物療法⇒抗血小板薬・血管拡張薬

A血行再建手術

1)短い閉塞(10cm未満)⇒経皮的血管形成術(PTA)

2)長い閉塞(10cm以上)⇒人工血管バイパス術 or 血栓内膜摘除術

3)その他、自家静脈移植術、壊疽例には患肢切断術。

posted by ホーライ at 12:00| 心臓と血管の病気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月05日

心不全とは? ごく簡単に述べよ

私たちのからだが活動を行なうためには、全身の組織において栄養分や酸素が必要です。

心臓は、栄養分や酸素を含んだ血液を全身に送り出すポンプのはたらきをしています。

このポンプのはたらきが低下して、全身が必要とする血液を十分に送り出すことができなくなった状態を心不全といいます。

簡単にいうと、心不全とは、心臓が弱った状態のことです。


●心不全の種類

心不全は、おこり方によって、@急性心不全、A慢性心不全、B慢性心不全の急性増悪(ぞうあく)、の3つに分けられます。

@急性心不全とは、急性心筋梗塞症(しんきんこうそくしょう)などの急性の病気が原因となって、それまで症状がなかった人に呼吸困難、起坐呼吸(きざこきゅう)(「症状は3つに分けられる」の肺うっ血症状参照)、血圧低下などの心不全の症状が急に出現するもので、緊急の入院治療が必要です。

A慢性心不全とは、心臓弁膜症(しんぞうべんまくしょう)や心筋症が原因となって心臓のはたらきが低下し、運動時の動悸(どうき)、息切れ、呼吸困難や足のむくみなどの症状が慢性的に持続しているものです。この場合、症状を軽くしたり、心不全の進行を食い止めるための検査や治療が必要です。

B慢性心不全の急性増悪とは、心臓のはたらきが低下しているけれども症状が軽くて安定していた慢性心不全の患者さんに、なんらかのきっかけで急に呼吸困難などの症状が出現するものです。この場合は急性心不全と同様に、緊急の入院治療が必要です。


posted by ホーライ at 02:10| 心臓と血管の病気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月01日

不整脈とは?ごく簡単に述べよ。

不整脈(ふせいみゃく、英語 Arrhythmia)とは、心拍数やリズムが一定でない状態の事を言う。

また心拍や脈拍が整であっても、心電図異常がある場合は臨床的には不整脈である。


対義語は「整脈」だが、臨床的には正常洞調律 (NSR:Normal Sinus Rhythm) と呼ぶことが多い。

正常洞調律は以下のような特徴をもつ。

P-R間隔が一定である。

QRS幅が0.1秒以下である。

P波が存在する。

P波とQRSの間隔が0.1〜0.2秒程度で一定である。


逆に、これらの条件のどれにどう異常があるかによって、不整脈は分類されている。



不整脈の発生機序として刺激生成異常と刺激伝導異常がある。

高齢者に多いが、各世代に不整脈をもっている人は普遍的に存在している。

原因として、虚血性心疾患、先天性心疾患などがある。

不整脈には様々な種類が存在し、全く自覚症状を伴わない不整脈もあるが、ある種の不整脈は生命の危険を伴っており突然死の原因とも成りうる。

ただし、普通の人でも体調不良時に不整脈を起こしていることはよくあるし、また常時不整脈を起こしている人でも日常生活にはなんら問題がない場合も多い。



心臓は全身に血液を送り出すポンプの働きをしている。

ポンプを動かしているのは電気刺激である。

まず、右心房にある洞房結節 (SA node) が興奮し、電気刺激が心房を介し右心房の下方にある房室結節へと伝わる。

更に興奮は房室結節からHis束、プルキンエ (Purkinje) 線維へと伝導し、心筋全体へと電気刺激が伝わっていく。

刺激生成あるいは伝導経路のどこかが障害され、心臓の興奮が正常に伝わらない状態が不整脈を起こす。

例えば、心房細動は、心房の筋肉の各部分が無秩序、不規則に興奮している状態であり、この無秩序な興奮が心室へと伝達されることで脈が不整となる。

また多量のコーヒー摂取からカフェインにより不整になることがある。


posted by ホーライ at 19:43| 心臓と血管の病気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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