2014年06月14日

インフルエンザとはどんな病気か?

●インフルエンザについて


●インフルエンザとはどんな病気か
 
インフルエンザウイルスの感染による炎症です。

ヒトからヒトへ感染しやすく、数年に一度大流行が起こります。

また、気管支炎や肺炎だけでなく、心不全や脳症などを併発し、死亡率の高い病気です。

高齢になるほど、および年齢が低いほど死亡率が高く、大流行の時には日本でも数万人、あるいはそれ以上が死亡しています。
 


インフルエンザウイルスはヒトの体内で爆発的に増えます。

ウイルスは約8時間で100倍に増えるので、1個のウイルスは24時間後には100万個になります。

数千万個にまで増えると症状が現れるので最初に数十個のウイルスに感染すると約1日後には症状が出始めます。

潜伏期(感染してから症状が出始めるまでの時間)が極めて短いわけですが、これがインフルエンザの大きな特徴であり、爆発的に広がる原因のひとつです。
 


インフルエンザウイルスはいつまで体内で増加し続けるのでしょう。

実は感染後2〜3日でウイルスの数は最大になり、その後は免疫抗体ができるため、増えた時と同じような速度で減り始めます。

感染して5〜6日後には体内からインフルエンザウイルスはほとんどいなくなりますが、多くの場合はまだ発熱が続いています。

ウイルスを退治するために役立つ物質(炎症性サイトカイン)が過剰につくられるため、症状を持続させるからだといわれています。



●インフルエンザの原因は何か
 
ヒトに感染するインフルエンザウイルスにはA型、B型、C型の3つがあります。

A型とB型は重症になりやすく、とくにA型ではウイルスの表面にあるスパイク(感染の際に役立つとげや爪のようなもの)が時々姿を大きく変えるためにワクチンが効かなくなります。

これを抗原変異(こうげんへんい)による新型(あるいは亜型(あけい))の出現といいますが、10〜30年ごとの新型の出現時には、大部分の人が新型への免疫をもたないために大流行となり、多数が死亡します。

 
最も有名なのは1910年代後半のスペインかぜです。

青壮年から高齢者まで世界中で4000万人が、日本でも38万人以上が死亡しました。

当時の日本の人口は現在の半分ですから、現在同じことが起こったら80万人近くが亡くなる計算になります。

しかし、2009年春から出現した豚由来の新型インフルエンザでは、診断や治療法の向上もあってそのような大きな被害は出ていないようです。
 


患者さんの咳(せき)やくしゃみは、インフルエンザウイルスを多数含んだしぶき(飛沫(ひまつ))を周囲にまき散らします。

冬の乾燥した空気中ではウイルスを包む水分が蒸発しやすく、ウイルスが身軽になって浮遊し、周囲の人がそれを吸い込んでしまいます(飛沫感染)。

ウイルスが身軽になるほど気道の奥まで吸い込まれます。

冬にインフルエンザが流行するのはウイルスが身軽になりやすいからであり、これも爆発的に流行する理由のひとつです。
 


吸い込まれたインフルエンザウイルスは、自分の体の表面のヘムアグルチニンというスパイクで気道の粘膜に吸着し、細胞に侵入します。

侵入したウイルスは細胞の仕組みを利用して自分の遺伝子を増殖させ、自分と同じ姿の子どもをたくさんつくります。

生まれた子どもは細胞の外へ出て、まだ感染していない細胞へ感染し、同じように自分の子どもを多数複製します。
 
ウイルスが細胞の外へ出る時に役立つもうひとつのスパイクをノイラミニダーゼといいますが、後で述べるインフルエンザウイルスに直接効く薬は、このノイラミニダーゼのはたらきを抑えてしまうのです。

それ以外にもインフルエンザウイルスが感染する仕組みを抑えてしまう薬が多数、開発されつつあります。



(続く)

posted by ホーライ at 15:41| 感染症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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